理想の住空間(構造)

今日、最も胸を痛めることのひとつに少年少女による凶悪犯罪や蛮行があります。原因はいろいろあるわけですが、建築業の観点からみると、家族、特に親子関係、引いては住環境にその一端があるのでは、と思えて仕方がありません。高度経済期に大量に造られた建売住宅。例えば、その多くは玄関の正面に階段があり、誰にも会わずに自分の部屋へ直行することが可能です。

そして一度ドアを閉めてしまえば、家族も社会も遮断することができる。こうした住まいの構造が、家族の絆を希薄にしているのではないかでしょうか。そもそも、完全に独立した子供部屋が本当に必要なのでしょうか。団らんの場であるリビングリーム、その主役がテレビというのもいかがなものでしょう。それぞれのライフスタイルやプライバシーを尊重しつつも、自然な形で導線を確保し、家族が集い、顔を会わせ、会話が生まれる家。私たちディー・アンド・エイチが考える理想の住空間の在り方のひとつです。

構造的な話を続けると、当社ではなるべく個々の部屋を完全に密閉、遮断せず、吹き抜け部分をつくることを推奨しています。家族のコミュニケーションを促すとともに、室内に大きな開放感を演出してくれます。それだけではありません。一階部分から放射された暖気の上昇により、家全体を暖かくすることができ、逆に二階、三階から冷気の下降により、家全体を涼しくすることが可能なため、省エネルギー、冷暖房費のコストダウンにもつながります。自然の光や風を、巧みにさりげなく取り入れるのも重要なポイントのひとつです。家族の息づかいが感じながら、一体感が深まる開放感に満ちた家。心にも、そしてできるだけ懐にもやさしい家を目指しています。

住宅と日本の風土へ